対談・コラム
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#01 myGengo|マシュー・ロメイン氏|CTO

マシュー・ロメイン / Matthew Romaine / myGengo Inc. CTO (最高技術責任者)
マシュー・ロメイン
Matthew Romaine
myGengo Inc. CTO (最高技術責任者)

マシュー・ロメイン氏は、2008年独自のWeb翻訳サービスでスタートアップ企業myGengoを代表ロバートラング氏と創立。当時よりco-lab三番町レンジデンスメンバーとして活用していただいた方です。2010年には自らの事務所を構え、海外有力投資家からの調達で本格的なベンチャー企業へと躍進。現在、グローバルで一目おかれる存在です。
海外の方でありながらこの日本で人力Web翻訳というユニークなビジネスアイデアを着想、実現するクリエイティブ精神には目を見張ります。そんな彼らの歩みの中で、クリエイターの集合体co-labの環境はいかに有効だったのか、マシュー氏の考えるコラボレーションのあり方について伺いました。

インタビュー : 田中陽明
2011.3.4

スタートアップにふさわしい、
自由な感性に満ちたクリエイティブ環境を求めて

—マシューさん、myGengoの事務所新設おめでとうございます。三番町ではいつも活発な議論を交わしたり、周りの方たちを巻き込みながら楽しく仕事をされていた印象が強かったです。今はこうしてWebの世界で大きく展開されようとしていますが、co-labに入居される当時はどんな状況でしたか?

マシュー : まず私たちのようなスタートアップ企業がオフィスビルに入居する事はとても厳しかったです。今でも日本はまだまだクリエイターや新しいビジネスをはじめようとするものにとって、チャンスや門戸が狭いなと思います。当時、資金も本当に少なかったのですが、co-labを紹介してもらった際、支払い方法でもフレキシブルな相談に応じてもらてやっと自分たちの場所をもつことができました。

—myGengoをはじめ当時は海外からの入居者が結構いましたよね。シェアするものの考え方が進んでいる海外の皆さんが集まってくれたことは当時重要だったと思います。
シェアオフィスもいろいろありますが、入居の際co-labが気に入られた点はありますか?

大概のシェアオフィスは整然と区切られた場所、箱の中で個々に仕事をするスタイルになっていますよね。そこではまわりにどんな人ががどういう仕事をしているのかわからない感じです。成功した様々な人の話から聞くことができますが、ベンチャーは始めに思っている方向がそのまま最後までいかないもので、まわりからさまざまな視点で意見もらえたり、相談相手がいるほうがよいのです。感性あるクリエイターが集まり、互いがフレキシブルにコミュニケーションはかれる環境が相応しい。co-labはまさにそうでした。

マシュー・ロメイン氏 - インタビューの様子1

互いに刺激しあい、向上心高いメンバーが集う
集合型プラットフォームから生まれるもの

—実際myGengoのメンバーは本当によく周囲との交流、意見交換されてましたよね。他のco-labメンバーとの活発な交流を通して実際によかったこと悪かったことはありますか?

マシュー : 一番よく相談にのってくれて意見してくれたメンバーに同じフロアの女性陣二人がいました。彼女たちmyGengoが提供するサービスの第一号のユーザーにもなってくれました。ユーザーとして率直な意見をもらえ、実際myGengoのサービスに取り入れるなど、私たちのサービス開発に大きく貢献してくれました。

—クリエイター同士が刺激しあう場所としてco-labが活かされたことは嬉しいかぎりです。myGengoに協力した彼女も今では町おこしプロデューサーとして賞をとるなど忙しそうですよ。お互いに刺激しあうオープンな場所だからこそ皆さん向上心があるし、実際有名になるメンバーも多いですよね。僕らはインキュベーションのつもりでやっているわけではないんですけど。

マシュー : クリエイターがフレキシブルにコラボレーションできる環境、そういう自由なプラットフォームだからこそ結果的に成果も生まれやすいのだろうと思います。
あとちょっと悪かった点ですが、時に議論が白熱しすぎて声が大きくなり、迷惑をかけてちょっと叱られてしまったこともありました。確かに沢山の様々なキャラクターや職種の人が集まる場所ですから、皆さんのスタンス、環境も尊重しないといけません。

—まーこれだけいろいろなクリエイターが集まる場所なので (笑)。

マシュー : またすごく重要でうれしかったこともあります。どんな組織もだんだん大きくなるにつれて仕事の環境として堅いものになりがちですが、co-labの場合はかなり大所帯になってもそのような堅い感じにはならなかった。これは本当によかったし仕事がやりやすかったです。

—僕らはまさにネット型社会のあたらしい働く場所をつくりたいと考えているんです。一つのビルを借りていろんな人を集めてプロジェクト単位でテンポラリーな組織を作り、終わったらまた解散しまた新たな組織がフレキシブルに発生するような。そんなco-labが考える集合型のはたらき方を増やしていきたいと思いはや9年たちます。最近それがやっと少しづつ形になってきたかなと思います。

マシュー・ロメイン氏 - インタビューの様子2

自分の人生でやりたいことをやるために考え、学ぶべきこと
〜チームづくりからビジネスの責任まで

マシュー : 今やっと日本も変わってきたなと感じています。私たちの場合、Web業界で、とくに若い人で企業の終身雇用制にこだわらず自分がやりたいことに思い切って挑戦しようとする考え方にあう機会が増えてきました。Webの世界では比較的低資金でもプロトタイプを開発し、早い時点でその検証が可能なため、例えば昔1億円かかるようなプロジェクトも今では1千万円位で始めて必死にがんばれば成功できたりします。米国ではベンチャーサポートするエンジェル投資家の活動は圧倒的です。またco-labのようなインキュベーションのオフィスも沢山あります。

—日本のものづくりのクリエイターと出資者の接点はかなり少ない状況なのですが、4月にオープンを予定しているco-lab二子玉川で実はそれをすこしづつ実現していきたいと考えています。

マシュー : ひとつ思うのはWeb業界のインキュベーションの目的はまずはお金。ベンチャーは常に早い者勝ちで、皆つぎのGoogleやFacebookに出資したいと考えている。一方でco-labの第一の目的はクリエイターをサポートすること。例えば賃料をさげるかわりにクリエイターの成果から数パーセントシェアをもらうようなオーナーみたいなやりかたもあるかなと思います。

—純粋に場所を提供する場合とスタートアップをサポートする場合とふたつありなのかもしれませんね。場所を運営する事業からもう少し新しいサービス、付加価値を検討していくことを考えてみたいです。

マシュー : またクリエイター自身も少しでもビジネスの感覚をみにつけておくべきだと思います。会社の作り方、権利の守り方などビジネスオーナーの責任を学ぶ必要があろうと。また自分自身のつよみや、やりたいこと、やるべきことはなにか。どのような人と組んだほうが成功できるのか早めに分かっておくこと。私の場合、開発が得意でデザインができない。ロバートはデザインが得意なのでよい組み合わせができています。

ヒトとデジタルがつなぐ独自のWeb翻訳プラットフォームで
世界のコミュニケーションバリヤを壊したい!!

—そんなmyGengoは今どのような方向を目指されていますか? myGengoの取り組みの最新のトピックも紹介してください。

myGengo ウェブサイト - トップページ
myGengoウェブサイト

マシュー : 去年Web上でmyGengo翻訳サービスを提供するためのプラットフォームを公開しました。API翻訳箱といって、ブログやECサイトなどいろいろな場所に埋め込むことができるものです。例えば、ユーザーが日本語の原文を英語にしてブログに掲載したい場合など、ボタンを押すことでmyGengoへ依頼が投げられ、直ぐさま人力翻訳されて戻ってくるサービスです。今14カ国語に対応して1500人の翻訳者が登録されています。
myGengoはコミュケーションのバリヤーを壊すことを目的に事業展開していますので、今後もっとテクノロジーの会社として思われていきたいです!!

マシュー・ロメイン氏 - インタビューの様子3
myGengo - オフィス風景

(最後に)
マシューさんの話からWebの世界の最新のスタートアップ事情など知ることができてとても刺激になりました。
アナログの業界で応用したらどうなるか。co-labでも地方の伝統工芸と東京のクリエイターを結びつける取り組みをしていますが、まだまだ支援者が少なく国の助成金にたよわざるを得ない状況にあります。「支援者は、スタートアップへのサポートやコネクトするネットワークが重要」とマシューさんは考えられています。私たちco-labもクリエイター支援のサービスのあり方をより深めていきたいと思います。