INTERVIEW
帽子文化をかならず絶やさない|中央帽子株式会社
「みなさん、帽子が好きですか?」「みなさん、帽子をかぶりますか?」
今回ご紹介するのは、co-factory渋谷メンバーで、総合帽子メーカーの中央帽子株式会社さんです。中央帽子さんは、帽子の企画から製造までを自社で一貫して行われている老舗メーカーで、明治末の創業時より大阪を拠点に事業展開されています。現在は企画などの一部機能を東京にお持ちで、2021年10月よりco-factory渋谷を事務所兼ショールームとして利用いただいています。今回は、同社執行役員の里見英俊さんからお話しを伺いました。
ファストファッションの台頭、カリスマ美容師ブームで帽子は被られなくなった?
帽子には国ごとの文化があり、その用途や役割に応じて形やデザインが作られてきました。日本の場合を見ると、確かに学生の赤白帽、幼稚園児の黄色い帽子、野球選手…みんな帽子を被っています。一方で、街中で当たり前に帽子を被って歩く人の姿はあまり見かけなくなりました。ひと昔前のアニメや映画を見てみると、帽子をかぶる紳士や婦人の姿が多く残されているのに、なぜでしょうか。
そこには、日本独自の理由が背景にあると里見さんは言います。まず第一に、昨今のファストファッションの台頭によって誰でも気軽におしゃれが出来るようになったこと。第二に、電車通勤が多いことに加え、高温多湿という風土があること。そして一番影響力の大きかったものに、カリスマ美容師のブームがあるそうです。日本は世界一美容室が多い国とされているそうですが、カリスマ美容師の台頭によって、帽子ではなく髪型でおしゃれを楽しむ文化に移り変わったそう。
このままでは帽子という文化そのものが衰退し絶えてしまう。ここから100年先の帽子文化を守り、文化として在り続けるため、様々な角度からのアプローチに取り組まれているのが中央帽子さんです。
帽子の“製造”そのものを絶やさない取り組み
帽子の製造には、「木型」という、整形用に使用する型があります。ところが、現在日本国内には帽子の木型職人が1人しかいません。中央帽子さんは、引退した職人さんから木型を全て買取り、若い職人さんを集めて木型製造に取り組んでおられるそうです。おしゃれなファッション帽子を作るだけではなく、「つくること」そのものを無くさない取り組みをされています。
トキージャハット(通称:パナマハット)やウェスタンハットの普及
中央帽子さんの取り組みは、日本国内に留まりません。2012年ユネスコより無形文化遺産に登録されたパナマハットは、トキヤ草によって編まれる帽子で、エクアドル現地の雇用を守るという意味でも重要な意味を持ちます。しかしながら、需要が減少しているという昨今の市況を受け、中央帽子さんとエクアドル大使館で全国を周り、パナマハットの普及に努めらたそうです。その他にも、アメリカ発祥のウェスタンハット、イタリアのボルサリーノ帽の普及に向けた取り組みもされています。
「帽子をかぶらない人に対してかぶることを強要するわけではなく、ファッションの一つとして、こんな帽子があることを知ってもらえたら」、里見さんはそのように言葉を添えました。
ファッションとしての帽子を超え、文化として帽子を絶やさないことを使命とされている中央帽子さん。それは、明治から続く長い歴史の中で、誰よりも長く、誰よりも深い職人愛で「帽子」と向き合ってきたからこそなのだと感じました。
今回は貴重なお話しを伺わせていただき、有難うございました。
▼中央帽子さんの詳細を知りたい方は、公式サイトからご覧ください
・中央帽子公式サイトはこちら
・中央帽子さんが入会するco-factory渋谷
(PR:渥美)