INTERVIEW
「美術」の世界に魅せられて|小島伸介さん
美術監督・美術デザイナーの小島伸介(コジマ シンスケ)さん。
映画やCMなど映像の現場でいわゆる「美術さん」と呼ばれる分野の中で、美術監督は作品の世界観全体をコントロールするお仕事です。
具体的にはデザイン画や平面図を描くことから始まり、剣や武器など作品の中で使われるもの全般をデザインし、イメージを大道具さんや小道具さんと共有、協力してセットや建物、ときには森など自然環境まで作ることも。
『一度死んでみた』や『何者』、『22年目の告白』などの有名映画からアニメーションでは『攻殻機動隊』、助監督としてリン・チーガイ監督やチャン・イーモウ監督など海外作品でもお仕事をされ、テレビCMではSoftBankやユニクロにコカ・コーラ、MVではV6やエレファントカシマシ宮本さんのソロ作品など幅広く手がけていらっしゃいます。
次々と有名作品が出てくることはもちろん、驚いたのはそのキャリアのスタートのお話。美術監督として多方面でご活躍されている小島さんですが、大学では建築を学ばれていました。ご本人曰く映画にそこまで詳しいというわけではなく、「どうしても映画の仕事がしたい!」という気持ちもお持ちではなかったそう。
そんな小島さんが「美術」の道に進んだのは、「軽い気持ちでバイトを探していたところから」というお話に参加者もびっくり!
なにかおもしろいバイトはないかと探していたときに、美術監督の助手の仕事を知り、美術監督の種田陽平さんにメールしたところ、ちょうど映画『キル・ビル』の仕事が決まったタイミングで助手をたくさん採用しており、小島さんも見事採用。なんとキャリア最初の仕事が『キル・ビル』という華々しいスタートとなりました。
そこで美術のおもしろさを感じ、種田監督に師事。助手としてさまざまな現場で経験を積み、美術監督として独立されました。現在も「最初が楽しくて、なんだかんだ今も続いている」という感覚なんだとか!
小島さんは台本を読みながら世界観を想像する一番最初の工程がとくに好きで、「この主人公だったら部屋はこんな感じかな?だとしたらこんな色のカーテン、こんな物も持ってそう」などとイメージを膨らませるのだそうです。初期段階から関わるので、アイデアを出して台本を変えてもらうこともあるそうで、美術が映像作品でいかに大切な要素なのかが感じられるエピソードだなと思いました。
たくさんの現場を経験してきた中で一番大変だった仕事は?という参加者からの質問には、中国に1年滞在し街ごと作る、という大仕事を挙げた小島さん。日本では長くても3ヶ月くらいがほとんどという撮影期間も、そのお仕事ではなんと半年とかなり長期に渡り、とにかく大変だったとのことでした。
普段はなかなか聞くことのできない映像制作の裏話や現場の様子。作品は表に立つ監督や俳優陣だけでなく、本当に多くの方が関わって完成するという当たり前とも言えることを、改めて深く実感することができた発表でした!
(co-lab二子玉川 コミュニティ・ファシリテーター増山)
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