INTERVIEW
XRを新しいエンターテインメントに|株式会社CinemaLeap 大橋哲也さん
XR作品を制作・プロデュースする株式会社CinemaLeapの大橋哲也(オオハシ テツヤ)さんにお話を伺いました。
「XR」とは「クロスリアリティ」の略称で、ゴーグルをかけて自分自身がバーチャルの世界に100%没入する「VR」や、現実の中にキャラクターが表れる様子を体験できる「AR」や「MR」等を総称したもの。
大橋さんはどのようにしてXRの世界に飛び込み、歩んでいったのでしょうか。
最初に勤めた電動バイクをつくるベンチャー企業でスタートアップ魂を学んだという大橋さん。その後、ショートフィルムの映画祭を企画する会社に勤めていた頃、 “VR元年”と呼ばれる2016年を迎えます。映画祭にもVR作品の応募が増え始め、全く新しい映像作品の世界に魅了された大橋さんは、2019年に株式会社CinemaLeapを立ち上げました。
近年のヴェネツィア国際映画祭やカンヌ国際映画祭にはXR部門があり、島をひとつ貸し切り、世界中から集まったXR作品を展示する試みがあるほど注目されています。
今年のヴェネツィア国際映画祭出展作品の中には、VRの世界の中での飲食を通して脳波を測定し、人の感情によって内容が変化する等、インスタレーション的な作品もあるのだとか。今やXR作品は、つくり手側の様々な個性や試行錯誤が垣間見える新しいジャンルになっているそうです。
そんなXR作品を手掛けるCinemaLeapさんがこれまでに制作した映画は8作品。前述の映画祭に出展したり、博物館や美術館での展示、専用プラットフォーム上での配信等、幅広く展開しています。
最近では、SONYから発売されているデバイスを使った“癒し”をテーマにした作品や、京都の美術館監修のもと、オリジナルのお茶椀型触覚デバイスで茶道の世界楽しむことができるような作品の制作、また、XRに特化した国際映画祭「Beyond the Frame Festival」(第5回となる2024年は10月25日~27日に開催)を主催するなど、日々XRの普及に邁進されています。
また、映画制作のほかにも、歴代の小田急ロマンスカーに乗って時代を超えた旅が体験できるロマンスカーミュージアムの「時を旅する体験型VR」の制作など、これまでの経験を生かして自治体や企業から依頼されたコンテンツ制作にも取り組んでいます。
最後に、大橋さんがこれから挑戦していく新規事業として、「IMMERSIVE JOURNEY」という大型XRエンターテインメント施設についてご紹介いただきました。
日本ではまだ普及率が低いXRを、エンターテインメントとして普及していくことが必要と思い、施設として楽しんでもらおうと考えた大橋さん。
これまで施設として運営することが厳しい面もあったXR施設ですが、IMMERSIVE JOURNEYでは最小限のスタッフ数で一度に多くの方を受け入れることができるため、体験施設としての新しい波が生まれるのではないかと期待しているとのこと。
今回は第1弾として、世界各都市で100万人を超える方に体験されている古代エジプト文明をテーマにした「HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)」という作品が体験できるそう。「没入感のある旅」をコンセプトとし今後は様々な時代、シチュエーションを旅できるオリジナル作品の制作も進めていきたいとお話しされていました。
なお、プレゼン会当時「IMMERSIVE JOURNEY」オープンに向けて実施中だったクラウドファンディングは見事達成!多くの方の支援とともに、好調なスタートを切ったとのことです。
さらに、ゆくゆくは城など日本の様々な観光資源をXRのフォーマットと掛け合わせて、オリジナルコンテンツをつくる夢もあるのだとか。コンテンツそのものと運営オペレーションをセットにして全国展開していくことで、XRの新たな可能性も生まれると、熱く語る大橋さん。協業できるパートナーも探しているとのことで、今後の展開に胸が膨らみます。
大橋さんの飽くなき探求心と好奇心が生み出す、見て、感じて、どっぷりと浸かることができるXR作品たち。
新しいエンターテインメントという名の海に漕ぎ出していくCinemaLeapさんから、これからも目が離せません!
<関連ページ>
株式会社CinemaLeapの公式HP
(co-lab五反田 with JPRE コミュニティファシリテーター安藤)