INTERVIEW
人生をデザインする「好きなこと」|有限会社ヴィンヤードデザイン 松岡桂士さん
今回ご紹介するのは、2023年3月にco-lab渋谷キャストに入会された有限会社ヴィンヤードデザイン代表の松岡桂士さん。
松岡さんは、自動車メーカーをはじめとする企業パンフレットのグラフィックなど、様々な分野でアートディレクションを手掛けていらっしゃいます。そのキャリアはなんと約30年。
自らの性格を“飽きっぽい”と表現する松岡さん。いかにしてデザイン業界で長年活躍できるフィールドを切り拓いてきたのでしょうか。
松岡さんのこれまでのデザイナー人生を紐解いていきます。
キャリアの原点「好きなことって何?」
若き日の松岡さんは将来の仕事について悩む中、ご自身の「好きなこと」を思い返したそうです。
まずは、子供時代に70年代のスーパーカーブームを経験し憧れた「クルマ」。ディスコブームの影響で好きになった「音楽」。そして海外ドラマを見て憧れを抱いた「海外」。
この3つの「好きなこと」を軸としてキャリアを創造し、「まずは海外に行ってみよう!」と思い立ったそう。そして、ある時”グラフィックデザイナー”という職業と出会うこととなります。
デザイン業界との出会い
海外渡航の資金を貯めるために、1年間日本のデザイン制作会社でアルバイトを経験したことがきっかけとなり、ワーキングホリデー先で情報ガイドや機内紙を制作する会社で働くチャンス掴んだ松岡さん。
クリエイティブな世界に魅力を感じ「デザインの道に進もう」と決意するも、“専門的な学校も出ておらず、絵も描けない”と悩まれたそう。
自らの不利な状況を打破するために努力し、未経験者の募集していたCDジャケットを手掛ける制作会社へと就職を果たします。
好きなこと「音楽」×「仕事」
CDジャケット制作会社でデザイナー人生を歩み始めた松岡さんは、仕事とデザインの勉強を並行して進め、独自の感性を磨いていきました。
そんな中、好きな「音楽」に関わるお仕事に携わる機会を手にします。
大手レコード会社の創世期に発売されたコンピレーションアルバムのジャケット制作に携わり、クライアントの要望を形にし、デザインに落とし込むことに成功。
インパクトのあるその世界観は、まるで1960年代のPOPアートを彷彿とさせる、時代を感じさせないデザインです。
松岡さんは「クルマ」好きが高じて、クルマメーカーの広告デザインを中心とした会社で広告やカタログ制作などの仕事で経験を積んでいきます。
“売れない車種に少しでも興味を持っている購入検討者に、DMや店舗ツールでどのように訴求していくか”を考え、デザイナーとしての枠組みを超えたアートディレクションを展開。
松岡さんは、数々の大手メーカーとタッグを組み「クルマ」の魅力を最大限に生かし、ダイナミックで躍動感のある広告を生み出していきました。
仕事の忙しさに忙殺され、お子さんが誕生したことにより独立を決意した松岡さん。2002年に独立、2006年に法人化し、仕事の幅を広げていきます。
独立してからはご家族との時間が増え、自分の人生にフォーカスできるようになった、と充実した表情で語る様子がとても印象的でした。
現在では山小屋を購入し、DIYを楽しんだりと、プライベートもクリエイティブな趣味に触れ、ご家族と充実した時間を過ごされているようです。
独立後の社名の由来となった「Vineyard」はぶどう園を意味します。
“ぶどうの木々は、互いにつながり合いぶどう棚をつくることで、たわわな実を結ぶことができる“
「モノをつくるとき、ぶどうの蔓をのばすように様々な人々とつながり合うことで、よりよい実(=モノ)を結びたい」
そんな松岡さんの想いを社名に込め、独立後も、人と人との”つながり”を大事にし、お仕事の幅を広げていらっしゃいます。
好きなこと「海外」×「仕事」
グローバルな経験を生かしアメリカ人デザイナーのご友人とタッグを組んで海外の仕事にも携わるなど、まだまだ歩みを止めない松岡さん。
日本を越えて「海外」の方とのコミュニケーションを楽しみながらお仕事を進めたい、と仰っていたのがとても印象的でした。
30年近く、グラフィックデザイナーとして大手企業の広告を手掛け、第一線を走り続けてきた松岡さん。
長年の経験から生みだされたグラフィックデザインの数々は、広告の要となる商品や人物が、生き生きと輝いています。
持ち前の「飽きっぽい」性格と経験を生かして、純粋に「好きなこと」×「仕事」として昇華させる松岡さんは、クリエイターの理想像ではないでしょうか。
“人生は「好きなこと」でデザインできる”
松岡さんのお話からそんなメッセージを受け取りました。
その想いを軸に、松岡さんのお仕事が今後どう発展していくのか注目していきたいです。
(co-lab渋谷キャスト コミュニティファシリテーター馬場)