NEWS
プレゼン会|働く上で大切にしていることは何か?
約3ヶ月に1度開催している、co-lab代官山プレゼン会。2018年2月16日の開催内容をレポートします。
—————————————————————————————————
<プレゼン会とは?>
メンバー間でのコラボレーションが起こるきっかけ作りや交流のために定期的に行う会です。
メンバーの方に10分ほどのプレゼンを行ってもらい、各会員のお仕事を知る機会でもあります。
—————————————————————————————————
今回は「働く上で大切にしていることは何か?」というトークテーマを設定し、プレゼンテーションをしていただきました。co-lab代官山のメンバーに加えて、「co-lab墨田亀沢:re-printing」の有薗悦克さんと、有薗さんよりご紹介いただいた平和紙業株式会社の西谷浩太郎さんにもご登壇いただき、みなさんの仕事に対する熱い想いを語っていただきました。
各々料理をよそい席に着いたところで、プレゼン会はスタート。
1組目はグラフィックデザイナーの岩村拓也さん。主に広告デザインのお仕事をされており、カメラマンやコピーライターの方々とチームを組み、制作を進められています。「デザインに一手間を加えること。」これがお仕事におけるモットーだと話す岩村さん。その例として、「タナカ漢方薬品店」さんのキービジュアルの制作について語ってくださいました。
こちらのロゴを作るにあたって、今では使われることがほとんどなくなった「写植」という手法で作り出された特殊なフォントをわざわざ取り寄せ、文字列を組み直したそうです。さらにそこから木版を作成して活版印刷し、刷ったものをデジタル化して今の形に仕上げたというエピソードをお話ししてくれました。「アナログで昔ながらの手法を採用することで、タナカ漢方薬品店さんのあたたかみを再現したかった。」と岩村さん。細やかな工夫を積み重ねていくことで、クライアントの要望に応えていく岩村さんの姿勢についてのお話に、クライアントワークスを手がける方も多い代官山メンバーの面々も、頷きながら耳を傾けていました。
次にご登壇いただいたのは、株式会社theoの久松さんと岸井さん。モバイルアプリの開発からVRコンテンツの制作まで、幅広いお仕事に取り組まれている会社です。
まずお話いただいたのは、ユーザビリティコンサルタントである久松慎一さん。はんだごてなどを用いたものづくりが大好きだったという少年時代を経て、「世の中に長く残るものを作りたい」という想いを抱くようになったそうです。現在では時間軸に着目した新方式の検索エンジン「TIME MAP」、また越境ECやクラウドキャスティングサービスなど、新規性の高いコンテンツ制作にコンサルティングとして参画し、サービスがユーザーにとって「使いやすいもの」となるように取り組まれています。
次にアートディレクターの岸井一さん。ここ一年間はVR(仮想現実)・AR(拡張現実)に関する制作に取り組む機会が多く、「リアリティとは?」という問いに向き合ってこられたそうです。その中で、今回ご紹介いただいたのが「VR ART」。「名画を実物大で見たい」という望みをVRの力で叶えた夢のあるプロジェクトです。VRゴーグルをかけることでプライベートな仮想空間の中、オルセー美術館所蔵の3つの絵画鑑賞を楽しむことができます。代官山スタッフはプレゼン会後にこの「VR ART」を体験させてもらいました。真っ白な空間に実物大の絵画のみが現れ、心ゆくまで鑑賞することができる、新感覚のコンテンツでした。絵画の解像度が非常に高く、至近距離で名画を堪能できることが魅力的です。
このように多様なジャンルの仕事を手がけるtheoさんですが、仕事において大切にしていることを突き詰めると「ユーザーセンタードデザイン」という概念に行き着くと、お二人とも口を揃えておっしゃいます。ユーザーの立場に立ってものを企画・開発、デザインをするという考え方です。日常においても、theoさんが手がけ完成したサービスをco-labスタッフやメンバーに紹介していただき、「是非一度やってみて」と体験させてくれる機会も多々あります。そんな光景をよく目にしているため、人が実際に使う姿を想像して制作を進めるというお二人のスタイルのお話は、非常に納得感のあるものでした。
最後はco-lab墨田亀沢の有薗さん、平和紙業株式会社の西谷さんの合同プレゼンテーション。それぞれの自己紹介の後、お二人が共同で携わったプロジェクトをご紹介してくれました。
まずは有薗さんの自己紹介から。株式会社サンコーの代表としてco-lab墨田亀沢の事業主であると同時に、チーフコミュニティファシリテーターとして、co-labの企画運営も担当されています。そんな有薗さんが仕事に置いて大切にしているものは「スーツ」だといいます。
理由について伺うと、co-labにおいてクリエイターの方々とお仕事をする際に、それぞれの業務領域が異なることを強く実感される場面があるそうです。有薗さん自身はビジネス領域の担当であり、その立場や役割を認識するために、ネクタイをしっかり締めようと考えるようになったそうです。co-labに集まるクリエイターと積極的にコミュニケーションをとり、コラボレーションを生み出し続ける有薗さんならではのこだわりでした。
一方、西谷さんの仕事のスタイルは「とにかく紙のことを四六時中考え続ける」というもの。ちょうどプレゼン会の前の週に、新宿高島屋で行われたバレンタインの催事に出向かれたと話してくれた西谷さん。何を目的に行っていたかというと、ひたすらチョコレートの箱を見比べ、パッケージの紙の使われ方の情報収集をされていたそうです。この行為は、何と15年間も続く習慣になっているというから驚きです。リアリティのあるもの(デジタルでないもの)の需要が徐々に減っている昨今、これからの紙の可能性を見出すことが自分の仕事だとお話してくれました。
そんな紙のこれからに情熱を注ぐお二人の共同で取り組んだ事例が、写真家・安藤次郎さんの展示会「ケッコウナケッカイ」です。
町で不意に見かける陳列された水入りペットボトル。これを撮影した写真のみを集めた展示が、平和紙業さんのギャラリーにて開催されました。開催に伴ってこの写真集を作る際、被写体の風情の表現するために「水に瞬時に溶ける紙」を素材として採用することになったとのこと。企画を担当した西谷さんは、この特殊な印刷紙を扱うとなった時に、まず有薗さんの顔を思い浮かべたそうです。「有薗さんなら、この話を面白がってくれる。」そんな西谷さんの予想通り快諾してくれた有薗さんと共に、水でところどころ溶け一冊一冊表情の異なる写真集を作り上げられたとのことです。紙の可能性を信じる西谷さんと、共感し技術で応えた有薗さんの素晴らしいコラボレーション事例について伺うことができました。
3組のプレゼンテーションの後は、恒例の懇談会です。食事やお酒を楽しみつつ、ざっくばらんな雰囲気での交流が続きます。フリーランスのグラフィックデザイナーさんの入居が多いco-lab代官山。色々な紙見本、成果物をお持ちいただいた平和紙業の西谷さんの周りにはたくさんの人だかりが。プレゼン中に話に上がったトピックをベースに、話が派生し盛り上がっていく様子も、プレゼン会ではよく見られる光景です。
「仕事の中で大切にしていることとは?」このテーマを通して、登壇者の方の仕事に対する姿勢や想いを伺うことができました。業界や職種が違う中でも共感できる視点・こだわりを感じたメンバーさんもいらっしゃり、プレゼン後の温度感が高い会となりました。また異なる角度から、co-labメンバーのみなさんの考え方や仕事に対する想いに迫ってみたいと思います。お楽しみに!
〔コミュニティファシリテーター:栗原、坂本、佐々木〕