co-lab PROJECTS
コクヨファニチャー総合カタログ表紙ディレクション
インハウスデザイナーとインディペンデントデザイナーが、立場や会社組織の枠組みを超えて恊働し学び合う場というコンセプトを持つco-lab西麻布(KREI)。そんな、企業とクリエイターによるコラボレーション事例の一つとなった、コクヨファニチャー総合カタログの表紙アートディレクションについてご紹介します。
昨年、co-lab内のコンペティションで獲得した2011年版カタログの表紙デザイン実績をかわれ、2012年版カタログも引き続き担当させていただくこととなったco-lab西麻布メンバーのグラフィックデザイナー矢野宏さん。いつもは桑田圭介さんやPUFFYさん等の音楽ジャケットのグラフィックデザインをされている方です。
「今回は2011年版でデザインしたペーパークラフトの表現を受け継ぎつつ、震災の影響で落ち込んでいるムードをはげまし元気づけるよう前向きなビジュアルを」というコクヨさんからのオーダーを受け、メインビジュアルには前作より少しアート志向の強いロンドンのイラストレーター、ユリア・ブロウドスカヤさんの作品が起用されることになりました。
カラフルで質感のある紙の断面部分と地の紙に映るやわらかな反射光の色彩グラデーションで、線と面を描くのを特徴としたブロウドスカヤさんの立体的なクラフト表現は、グラフィックと見間違えるほどに繊細で美しいビジュアルを作り出しています。ファニチャーから生まれる太陽や虹で、オフィスから新しいアイデアやビジネスが次々生まれる様子を表現しているそうです。
作風が独特で、アート寄りな彼女の作品を起用することで2012年版は2011年版よりさらに意外性を出し、これまでのかっちりとしたコクヨさんのイメージを良い意味で裏切る事が出来ました。
クライアント:コクヨファニチャー株式会社
アートディレクション:矢野宏(co-lab西麻布メンバー)
ペーパーイラストレーション:Yulia Brodskaya
ちなみに、矢野さんが最初に担当した2011年版のカタログは、ペーパーフラワー作家の川島風光さん、吉野大輔さん、内田麻子さんの作品を起用したかわいらしいデザインでした。
(画像左側が矢野さん担当のコクヨファニチャー製品カタログ)
また、矢野さんが担当する以前の2010年版では、同じくco-lab西麻布のグラフィックデザイナー南部隆一さん(当時、co-lab三番町メンバー)と、co-lab渋谷アトリエメンバーのソウルデザイン・鈴木大輔さん(当時、co-lab三番町メンバー)が共同で担当していました。
座面が植物でできたオフィスチェアをメインにした表紙デザインで、それまでに社内で内製していたビジュアルの傾向を昇華させて新鮮なイメージを表現することができました。こうして、カタログも年を経るごとに少しずつブラッシュアップされているようです。
通常は時間のかかるクライアントと制作者の相互理解も、日常的に同じ空間を共有することによって、お互いの姿勢や肌感覚を自然な形で感じとれているのでコミュニケーションがより円滑にできる点も、シェアードコラボレーションスタジオの特徴だと思います。
制作の経緯や思いについて語った、矢野さんのインタビューはこちら。
[コンシェルジュ:小田]