プレゼン会|照明デザイナー、アートD、そして特別ゲスト!

2019年6月、渋谷キャストにてプレゼン会を開催いたしました。注目を集めた新メンバー勢によるプレゼンや、渋谷キャストだからこそ実現できた特別ゲストの登壇などなど、大盛況となった当日の様子をレポートいたします!

スタート前から“いつもと違う”今回のプレゼン会は、豪華なケータリングが皆様をお出迎え。 実は今回特別ゲストとしてご登壇いただいたベイクルーズ様より、フード事業のご紹介を兼ね、素敵なお食事をご用意いただきました。

美味しそうなフード&デザート。盛り付けやテーブルグリーンの演出まで圧巻の華やかさです

「今日は気合入ってるね〜」とメンバーの皆さんの期待感も高まったところでいよいよスタートです!

一人目の登壇者は、スピアーズアンドメイジャー株式会社の豊田さんです。豊田さんはロンドンに本拠を置く“光と働くデザイナー集団”の一員で、東京スタジオ開設のため今年の2月、25年ぶりに日本へ戻られました。
店舗内装照明から都市計画における光のマスタープランニング、オリンピックのアドバイザーまで、様々な規模のプロジェクトに関わり国際的に活動されています。

豊田さんの発表の中で非常に印象深かったのは、「光とは何か」「光にはどんな力があるか」と様々な切り口で光を紐解いていた点です。光を『サイエンス・アート・テクノロジー・フィロソフィーの中心に位置するもの』と表現され、あらゆる角度から捉えた光そのものを語って下さいました。光そのものは目に見えないが、ものを”見せてくれる”ものである…等、まるで大学講義のような面白さで、会場がぐっと引き込まれているのを感じました。

次に実際のお写真を見ながら、いくつかのデザインコンセプトをご紹介いただきました。
内装照明だけで昼と夜で表情を大きく変えることに成功したオペラハウス(コペンハーゲン)や、宗教的に意味深い月の満ち欠けをテーマにおきその日の月齢に合わせた映像投影を行なったモスク(アブダビ)、製造工程をモチーフに物語性のあるライトアップをしたウィスキー工場に、閉店後も街の人に印象を残す演出を施した店舗などなど…。
外部公開できないお仕事が含まれているためこちらに掲載できないのがとても残念です!!

手がけたプロジェクトの写真を拝見して驚かされるのは、その美しさはもちろんですが、それぞれ完成形の雰囲気が全く異なること。『同じことを二度はしない』『建築物にアイデンティティを与えるのも光の役割』と仰っていた通り、新しくそのものの価値を生み出しているということがよくわかります。

これら数々のデザインは、人の行動を軸にした現地の分析調査に始まり、自然とのバランス、街の経済や人体への影響と、光の持つ力と影響範囲を考慮しながら、表現したいムードを丁寧にプロジェクトメンバーと共有していくことで実現させていくそうです。

光を多角的に捉え、その一つ一つの役割を深く理解されていることがアイデアの引き出しの多さにつながっているのかもしれません。プロジェクトごとに最もふさわしい表現方法を繰り出すことができるのは、常に突き詰めて考える思考の深さゆえのように感じました。楽しそうに話されている様子から光の可能性を信じているのが伝ってくるようで、「豊田さんみたいな人と仕事がしたい」という会場から漏れた声に思わず納得してしまう、素晴らしいプレゼンテーションでした。

二番目には、正親 篤(おうぎ あつし)さんにご登壇いただきました。

5月にco-lab渋谷キャストに入会されたばかりの正親さん、それまでは長く広告代理店にお勤めで、この春独立し法人化されました。長くアートディレクターとして活躍され、誰もが知る広告作品を数多く手掛けていらっしゃいます。

まずご紹介いただいたのは、ユニークなご経歴です。
新卒で入社したデザイン事務所はわずか3ヶ月で倒産。しかしその短い期間に先輩から教わった「ADC (アートディレクターズクラブ) 年鑑」を鍵に次の就職先を探します。電話アタックの末、とある事務所に拾われますが実態は超ブラック!3年で限界を感じた正親さんは、アジア放浪の旅に出ます。帰国後、前職で繋がりがあった大手代理店の人に連絡し、子会社への紹介(と、お寿司)をいただき、入社します。さらに3年後、後輩に誘われ某代理店最大手に応募したところ一人合格し入社、その後今年までの19年間、その企業でキャリアを積まれました。

その後も「カメラマンの知り合いが多いので無料で写真集を作ってもらった」「飲み屋で仲良くなった雑誌社の人に被写体を集めてもらった」など、驚くようなエピソードが続出します。
ご自身では「わらしべ長者みたいな経歴」と笑いを誘っていましたが、手掛けたプロジェクトの数々と正親さんのもつ雰囲気から、実力とお人柄のなせる技だというのが伝わってくるようでした。

宝島新聞広告や、英会話のGABA、キリン、マクドナルド等メジャーなお仕事に多く携わる正親さんですが、思い出深いものとしてJR九州/九州新幹線の広告を挙げられました。当時半年かけて準備をしていたそうですが、実は思うように情報が広まらずイメージ通りの画が撮れるか危機感を覚えていたそう。3000万部のチラシ手配り等泥臭い活動をしながら、祈る気持ちで当日を迎えたのだとか。しかし蓋を開けてみると参加者約3万人の大成功で、「泣きそうになった」とその時の心境を話して下さいました。

最近では、清涼飲料水のシリーズCMもディレクションされています。次の週末は雨で中止になった撮影の撮り直し予定だそうですが、またも雨予報のため「逃げ出したい」とこぼしていらっしゃいました(…が後日、雨を逆手に取った力強い映像をオンエアで拝見し、さすがの一言でした!)

様々な裏話をお話しいただき、これまでの華やかなご実績とともに、人を魅了する正親さん独特の雰囲気が伝わってきました。co-labコミュニティの温度がまた少し上がるのではと、期待を持たせていただける素敵なご登壇でした!

最後にご登壇いただいたのは、今回特別ゲストとしてご参加いただいたベイクルーズグループの皆様。
キャストに本社を構える大手アパレル企業であり、また幅広い事業を展開されているグループ企業でもあります。広義のクリエイターが揃うco-labに興味を持っていただき、この度交流を持ちかけていただきました。

副社長である小峰さんから、まずはグループ全体のご紹介をいただきました。
今年で設立40周年を迎えるベイクルーズは、ライフスタイル全般をカバーする幅広い事業を手がけ、店舗数390従業員数は5000名にものぼります。創業者の「より多くのリーダーを輩出したい」という想いから社内分社制をひき、現在9つの分社が各カンパニー長のもと独自の運営をされているそうです。

メイン事業であるアパレルセレクトショップと言われる業態として、国内2位につけているベイクルーズ 。大きくリードしている理由として、小峰さんはEC領域の強さを挙げられました。対実店舗でECの売上比率が高いだけでなく、自社EC比率が高い(プラットフォーマーへの依存度が低い)ことも大きな特色なのだそうです。これらが実現できている理由は、まだ競合他社がそういった取り組みをしていない10年以上前から先駆けて注力していたため。リーディングカンパニーのビジネス感度の高さが伺えます。

またもう一つの大きな特色として、とにかく新しいものを生み出すことに貪欲であることを挙げられました。それらは社内制度にも表れており、アルバイトを含む全従業員を対象に新しい提案を受け付け承認さえ下りれば実際に事業化する“スタートアップキャンペーン”など、想いを形にさせる仕組みが整備されているそう。「赤字のブランドもある」と明かしつつ「それでも今まで世の中になかったものを提供したい」と、企業に根付く事業意欲を語ってくださいました。

「人々の人生に彩りを与える」というビジョンから、ベイクルーズ は衣食住、美の領域と広く事業展開されています。この日は各事業部から担当役員の方にもお越しいただき、直近の取り組みや課題などをご紹介いただきました。

「決済領域における新しいソリューション、デジタルコミュニケーションに関する面白い知見を求めている」(フード・フィットネス担当 野田さん)「事業が好調な分、リソース不足解消にアイデアを」(ファッションEC担当 島田さん)「クリエイティブ業界に特化した人材会社””でマッチング・コラボレーションを」(人事担当 梶村さん)「genZ〜ミレニアル世代にリーチするブランド開発に尽力。新規事業の展開についても相談したい」(マーケティング担当 細川さん)「気軽に面白いアイデアを持ち寄れる関係に」(クリエイションセンター 森さん)「日常的に交流を持ち刺激しあえれば」(総務担当 飯田さん)

盤石な基盤を持ちながらも、生まれ続ける新規事業のため常にアンテナを張っているベイクルーズグループ。それぞれの分野のお話を聞かせていただき、会場からは早速具体的なコラボレーションを期待する熱い視線が向けられていました。

週中でありながら40名ほどのメンバーさんが集まり、プレゼン会後の交流会は熱気に包まれ大盛況に終わりました。

今回の会は、co-labからもう一段階枠を広げた渋谷キャストというコミュニティでのコラボレーションを予感させる、大きなきっかけになったように感じます!
今後も渋谷だからこそできる、渋谷キャストならではの企画を開催できればと思います。ご登壇・ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

(コミュニティファシリテーター:内田)