REPORT
VR勉強会|AI・データ解析の現場で起きていること
2018/4/26(木)、co-lab渋谷キャスト1Fラウンジにて、co-factoryを運営する株式会社SpiralMindによる勉強会が開催されました。
今回は、SpiralMindパートナー兼研究員の⽯川信⾏氏をお招きし、「AI・データ解析の現場で起きていること」というテーマでご講演いただきました。
石川氏は、「難しい最先端の技術をもっと身近にし、より暮らしを豊かにする」といったビジョンをもつ株式会社ミラセンシズ代表取締役社長であり、SpiralMindパートナー研究員ですが、もともと昆虫好きであったこともあり画像解析技術を使って花や鳥などの写真を撮ってそれを判別するようなアプリを開発したことがきっかけで、現在、AI分野におけるコンサルティング活動を行っています。
さて、今回は、AIの教科書にでてくるような一般的なAIやデータ解析の歴史というものではなく、ご自身が8年間にわたりデータ解析業務に携わってきた経験を踏まえ、どのようにしてビジネス現場でデータ解析がAI技術へと進化していったのかをとてもわかりやすく解説していただく大変貴重な勉強会となりました。
はじめに、AIに関連が深い要素である「データ解析」「Deep Learning/機械学習」「GPU/コンピュータリソース」それぞれの技術の発展が、どのようにしてビッグデータ全盛期へと発展したのかを説明頂き、次に、統計や機械学習における4つの作業プロセスについて説明がありました。
1.課題設計:どう問題を解くのか
2.環境準備:計算機の準備とデータ投入
3.データマート作成:分析用ローデータ作成
4.分析:分析手法を使って分析を行う
石川氏曰く、一般に統計や機械学習と聞くと、4の「分析」プロセスがメインであると思われがちですが、その前段階が最も重要であり、特に1の「課題設計」プロセスに対しては、十分な時間をかけて行うべきであることを強調しています。
AIというテーマでしたが、タイタニックが沈没する時に生存できる条件分析のツリー構造図を例にする等、素人でもとてもわかりやすい解説でした。
次に、現在、統計、機械学習を行うにあたっては、とても良いハードウェア環境やツール類が増えてきており、データに基づく科学的経営判断の手段として、その有用性が大きく認められてきているとお話がありました。
しかし、その解説の中で、AIというキーワードは「“AI”全盛期時代を前に仕事を「奪われない人材」になるためには」などの大きな誤解が横行していることには大きな問題があると石川氏は指摘しています。
人間は「五感+思考により行動を起こす」するものであるが、現在のAI技術はあくまで「データ+アルゴリズムから行動を再現するもの」であるにすぎないとのこと。AI技術が、けして人間のように意思を持つようなものではないことを、しっかりと理解し利用していくことがAI技術の活用をしていく上でとても重要であるとのことです。
最後に、最もよく目にするキーワード「ディープラーニング」について詳しい解説がありました。
今日ディープラーニングが注目されてきた背景には、統計、機械学習の各作業プロセスのなかでも、特に3つ目の「データマートの作成」プロセスと4つ目の「分析」プロセスの部分が、ハードウェアとソフトウェア技術の進化により飛躍的に向上したにすぎないとの事です。
つまり、最も重要な作業プロセスである1の「課題設計」プロセスについては、さほど大きな進化はなく、従来どおり人間が時間をかけて行っていく必要がある為、AI技術のスキルだけではなく、どのような目的があり、そのための課題は何か、それが解決されるためには何が解決できればよいのかといった、人間自身が考えなければならない部分については、より能力を磨いてゆく必要性が高まっているようです。
石川氏からは「好奇心やビジネス接続力など、いろいろなスキルを高めて行きましょう!」といって、とてもカジュアルで楽しい講演が締めくくられました。
今回の勉強会をとおして、今後も、機械の発達とともに目を見張るような技術革新が様々起きてゆく一方、その技術だけに流されず、物事の本質、そして一番大切な目的を見失わないように心がけていきたいと筆者は思いました。
次回の勉強会は、クリエイティブなツールのテーマ「動画配信の次は空間配信だ! 誰もが空間を作り配信できるVR空間作成ツールSTYLYを使ってみよう」です。ぜひお越しください!
[株式会社SpiralMind:山田里奈]